公的領域へ参与

次に公的領域へ参与するための資源について山本は考察している。公共性へのアクセスと排除には性別、人種、階級などで排除する「フォーマル」な形態と「言説の資源」という眼に見えない資源により排除する「インフォーマル」な形態が存在するという。

すなわち、現代社会にはどうしようもできない経済格差や階層間格差が存在するということだ。アーレントは公的領域への資源の問題には特に言及していない。しかし、必然からの開放を自由、政治活動の条件とみなしたアーレントの限界は明らかだと山本は主張する。

これまででさえ排他性をもっていた政治的公共空間が、さらに閉鎖的になる可能性が指摘できると山本は言う。それに対抗するのは「親密圏」=アーレントの言う私的領域の再生プロジェクトでは限界がある。

「親密圏」は現代の社会構造の問題にミクロなレベルでの対応・対抗はしているが、近代への懐疑とともにわれわれが軽視しがちなマクロなレベル(大文字の政治領域と言って良いが、想定されるのはやはり議会・政党政治であろう)での、そして、ミクロとマクロの有機的連関の観点を欠落させたものでしかない、と診断している。