アーレントの目指した世界

確かにアーレントの目指す政治理論ならば暴力で解決せずに、言論と活動によって展開されるかもしれない。だが、われわれの住む現代社会ではやはり市民一人ひとりが政治に向き合っていくことは困難に思われる。

なぜならば、現代社会は消費社会の上に成立し、一人ひとりが政治を行っていくには労働力の不足が第一に挙げられるだろう。また、日本は戦後「平等」を掲げ、均質化・同質化を目指したが、アーレントの言う均質化には限界があったように思える。人々は差があるからこそ活動力の源があるのだ。

しかし、山本のいうように逆を返せばミクロのレベルならばアーレントの目指すものは可能なのだ。現在は情報化社会で、個人でも影響力のある情報を流すことも出来る。未だテレビなどのマスメディアが有力ではあるが、インターネットの普及速度はすさまじい。この論文が発表された時期は少し前なので現在の急速なインターネット市場を予測できていなかったのかもしない。ネット市場は主に経済界を大きく左右しつつあるが、それは政治界にも波及していくだろう。私はこの情報化社会でアーレントのいう政治が適用される可能性を見出す。