まとめ

直接民主主義は小さい単位ならば(ポリスのような都市国家)では可能だったかもしれない。しかし、現在の単位は巨大かつ鈍く間接民主制を取らざるをえない。この巨大で鈍い政治組織をインターネットで俊敏に活動させることが出来るのではないだろうか。たくさん問題は考えられるが、大きな問題はインターネットにおける匿名性と情報格差である。

インターネットでしばしば問題になる匿名性を乱用した悪質な行為があるが、匿名性を排し、公的領域にも通用することが出来るようにする。現在の技術では到底出来ない話だろうが、この加速する技術進歩で将来不可能とは断定し難い。また、実現可能な状況になったとしても悪質利用者と技術開発者のいたちごっこになりそうである。

次に情報格差の問題である。インターネットの広場というバーチャルな世界で市民社会を作り上げていくならば、現実の世界で格差が生じてはならない。それは経済格差やパソコンを使いこなせる能力の格差などである。これらを解消するためにはまだまだ時間が必要である。

インターネットの世界に没頭し、個人の世界に入り込む少年が増えている。他者との関係も希薄になり、どんどん個人のみの世界に没頭する傾向にある。だからといって、その対策として「インターネットをなくそう」という運動は意味をなさないだろう。人間は便利なものは二度と捨てることは出来ない。よって使い方を変えていくしか方法はないように思える。アーレントの目指す「暴力ではなく、言論と活動によって」社会を動かしていくには一人ひとりがこの政治観を理解し、インターネットをそのために利用するならば、山本のいう「アーレントの限界」も克服できる可能性もある。